第21話 =素早い金田一=

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先週からずっと僕の前か後の時間帯でバスキングしているおじさんがいる。フォークギターでジャズっぽいギターソロをやっている。映画音楽、イージーリスニング、そんな感じの選曲で地下鉄バスキングとしては正統派の部類に入るだろう。

いつも苦虫を噛んだような顔をしていて、どことなく古谷一行が金田一耕助を演じてた時の雰囲気がする。

先日僕がピッチに歩いていくと金田一が見えた。彼は内側に向けた腕時計をちらちら見ながら演奏していたが、ちょうど時間になったらしく急に曲の途中で終了したかと思うとアンプとお金の入ったバスケットをひょいと掴み、そのまま歩いて去っていった。ギターは肩に下げたままだ。時間にして0.5秒、素早い。

次の日、今度は時間になって彼が来たのが見えたので僕は片付けを始めた。僕がピッチの横に移動すると、金田一はアンプを床に置き、間髪入れずにギターを弾きだした。またもや0.5秒、早すぎる。普通はセッティングやらなんやらで10分くらいかかるのだが…。

どうも彼のギターとアンプは始めっからつながっているみたいだ。ボリュームやトーンもすでにテープで固定されている。まあ長年やってるので固定してても問題ないのであろうがチューニングすらしてない。もうすべて事前に調整済みなのだ。

今日もまた会ってしまった。いつも帰る時何かボソボソ言っているので、今日は注意深く聞き耳をたててみた。

相変わらず、挨拶も無く、目も合わせず0.5秒で去っていった。

「Time is money, time is money ……」と言いながら。



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