第20話 =Keep on playing !=

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毎年この時期は、1年の中で一番バスキングの稼ぎが少ない。大体最盛期の半分くらいに落ち込むのだが、稼げない場所をブッキングした日には、1日数ポンドという日もある。したがって、この時期自国に帰ってしまうバスカーもいるし、長期休業してしまうバスカーもいる。実際バスキングしていても何となくパッとしないというか、モチベーションが下がっている。

そんなんでもバスキングのチップのみで生活してる以上、あまり休むわけにもいかない。そのうえ演奏している時は、見ている人は見ているもので、気合い入れて演奏してないと、なおさらチップの入りが悪くなる。

おまけに今日は、風邪気味で熱があるみたいだ。

1時間くらい経った頃だろうか、辛くなってきたので休憩していると、ひとりの青年が声をかけてきた。

「おい君、なんで演奏してないんだ?」なんて言ってる。こちらとしても好きで休んでるわけじゃない、風邪で熱があるのだ。体もだるいし… しかし本当の事言うと、心の奥には「この時期のこの場所じゃ一生懸命やったって、たいして稼げねーや」というやけっぱちな気持ちもあった。

彼は、僕のやる気の無さそうな顔を見ると、くるりと振り返り、バスキングピッチの前で大声を張り上げ始めた。

「えー皆さん! バスカーが一生懸命美しい音楽を奏でてますよ! どうかチップを入れてあげてください! さー皆さん是非チップを、是非チップをお願いしま~す!」

「なに~!? 勘弁してくれよ~」 バスキングピッチの前でそんなこと叫ばれては、やらないわけにはいかず、しぶしぶ演奏を再開した。

はじめは「おいおいふざけてんじゃねーよ、バカにされてんのかな?」などと思っていたのだが、だんだん彼の表情から本気でやっている事に気がついた。そして15分ほど、彼は一心不乱に通行人に声を掛け続けた。彼のパワーに触発されてか、僕の体調もいくらか良くなり、チップも入り始めた。

彼は、僕が調子出てきたのを確認すると「ほら、やり続けてれば、良い事あるじゃないか、止まっちゃだめだよ」と笑顔で言い、ホームの方に歩いて行った。そして見えなくなるまで、何度も振り返り、拳を上げ、僕に向かって叫んでいた。

「Keep on playing ! Don’t stop !  Keep on ! … Keep on ! …」

http://www.youtube.com/watch?v=TrLfVpu0esA



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